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講 演 会

講演会「姓をどうする」

2023/10/29

~選択的夫婦別姓制度から私たちの生き方を考える~

 当日は支部会員を中心に29名の参加者が集まり会場は満席になりました。期待度の高さがうかがえました。
第1部は三浦弁護士による講演が行われ、以下の項目に焦点を当ててお話がありました。

  • 選択的夫婦別姓制度とは?
     民法・戸籍法の内容や日本においての氏についての歴史や世界各国との比較など。
  • そもそも何が問題なのか?
     法律婚で夫婦の一方(大多数は妻側)が氏を変えることによるデメリットと、別姓を貫くための事実婚によるデメリットについて触れ、現状ではどちらにしても不利益が生じること。
  • 憲法問題はどこにあるのか?
     憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)14条(法の下の平等)24条(夫婦同等の権利・個人の尊厳と両性の本質的平等)に対して現行の民法・戸籍法は違憲なのか合憲なのか?という問題。
  • これまで何をどう争ってきたのか?
     氏にまつわる争いの歴史と第1,2次夫婦別姓訴訟などの内容について。
  • 違憲判決はなぜ出ない?
     司法審査の限界(違憲判断の対象)と国会の立法裁量との関係性について
  • これからの展望
     法的な主張と社会的運動について。

三浦弁護士曰く「ロースクールレベル」の内容をユーモアを交えながら非常に分かりやすくお話しいただきました。 休憩をはさみ、第2部は質疑応答と意見交換が行われ、和気あいあいとした中にも熱く充実した時間となりました。

講演会2 講演会2

参加者の声

  • 1.今まで夫婦別姓問題についてよくわからなかったことがわかりました。 時々ジョークも入って面白くて興味深い講演でした。 戸籍法が夫婦別姓のじゃまをしているのではと思います。 戸籍の記録とは別に結婚証明書を役所に提出すれば、税金、ビザ、銀行融資のことも解決すると思う。 人権について憲法第13条が大事ということ今までよりもよくわかりました。
  • 2.言論の自由とか表現の自由とかあるので、氏の自由があってもいいはずだ、と単純に考えていました。通称ではうまくいきませんでした。なぜ別姓が認められないのかしらともどかしく思っていました。 今日はとても有意義なお話、ありがとうございます。 とても深く、たいへんなたたかいが続いてるのを知り、希望が感じられました。制度がかわるかもしれない!楽しみです。
  • 3.婚姻して夫の姓になるのが約95%ということは、まだまだ「家」制度の影響が強いのかと思われる。憲法民法が改正され80年近く経つのに姓の選択のアンバランスは嘆かわしく思う。
  • 4.女性がキャリアを蓄積して晩婚の場合、旧姓使用は当然だと思います。ただ旧姓使用だけでは法律的に不利益を受けることが多すぎると思います。 早く選択的夫婦別姓制度になってほしいと思います。
  • 5.実家の姓を受け継ぐ子供がいない場合、実家はどうなるのでしょうか。
  • 6.量的調査の重要性は分かりますが、それではマイノリティの人々のアイデンティティはどうなるのでしょう? 少人数でも大切で守られるべき、とは どの様に判断基準を作るのか・・・と思いました。
  • 7.「姓をどうする」と少し難しい内容でしたが、 息子より若い弁護士先生の優しい語り口で、ロースクールの生徒並 みには至りませんが、わからないことに触れることが出来まして、有意義なひとときでした。
  • 8.とても興味深いお話でした。 自分の中に これまでの慣習にとらわれた古い観念が潜在的に存在することに気付かされゾッとしました
  • 9.定年まで通称で働いてきた友人たち(女性)が、これから会社から離れて戸籍姓で生きていくことに抵抗がある人が多いです。皆さん困っています。 なんとかしたいです!
  • 10.とてもわかりやすい内容でした。 別姓がよい人にも 同姓がよい人にも 道が拓かれているのに、なかなか成立しないのが歯がゆいです。 家族みんなが同姓でなくていいんだ と再確認できる 先生の お話でした。
  • 11.先生のお話は大変分かりやすく内容が濃く、多くのことを考えさせられた。選択的夫婦別姓制度についての話の中で、今も95%もが夫の姓にしているとのこと。平等な結論として夫の姓に決めているのかという先生のご指摘はその通りだと思う。どちらかを選んで同姓にしなければならないことが、一方の我慢や諦め、家名存続や墓守などの問題も引き起こすわけで、別姓であれば解決することは多いだろう。この制度は別姓を強制しているものではなく同姓か別姓かを選択できるのだから、それを決められる自由さや個人の尊重というものが、憲法上だけでなく社会にあればよいのにとつくづく思った。
    講演と意見交換での講演会もまた充実していてよいものだと思った(テーマによるかもしれませんが)。
  • 12.法律がわからない私にとっては難しい部分も多々ありましたが、考えさせられることが多く、大変充実した講演会でした。 三浦徹也先生はお若く優秀で、ユーモアを交えながら、なるべくわかりやすく話してくださり、講師の人選も素晴らしかったと思います。マイノリティに対する温かさも溢れていて、懐の深い、頭の良い方と感じました。 選択的夫婦別姓制度に関する問題は、同性婚などとも関わることで、多様な人々の人権を守れる社会になることが重要だと思いました。 このような素晴らしい行事を企画運営してくださった正副支部長や事務局を始めとする方々に心から感謝いたします。素敵な時間をありがとうございました。
  • 13.夫婦別姓が許されない状況は50年前に私が直面した問題でした。未だに選択肢が無いことに憤りを感じます。当時に比べ、女性が社会で活躍し、専業主婦という言葉が死語になりつつある現代に合っていない法律であり、理解できません。夫婦同姓でなければいけない合理性はどこにあるのでしょうか。世界的に見ても極めて特殊で、遅れた国であると思います。超保守のおじいさん議員ばかりで、女性議員がとても少ない国会がおかしいのではないでしょうか。そして、問題意識も無く、怒ることもせず、諦めている国民にも呆れています。 三浦先生の分かりやすく前向きなお話はとても勉強になりました。ありがとうございました。
  • 14.とても有意義な講演会でした。ありがとうございました。選択的夫婦別姓については今迄深く考えることはありませんでした。ですから講演会にも勉強するつもりで臨みました。ただ自分の経験として、結婚して姓がかわるとき、なかなか夫の姓を言えなくて複雑な気持ちをしばらく抱えていたことは今でも鮮明に覚えています。今回の講演会は姓について法律の上からどう捉えるか、また、歴史的、社会的にはどうであったか等、説明して頂き大変参考になり、意識改革になりました。そして、自分が嘗て姓がかわるとき感じた複雑な気持ちが何に起因するものなのか改めて考えさせられました。今後、自分なりに姓のあり方について考えていければと思います。
  • 15.今回のテーマはそれ程身近な内容という意識はありませんでした。しかし、三浦先生の惹きつけられる講演を拝聴している間に、障害は社会の側に宿る社会モデル、という視点がここにもあり、日々、自分が関わっている事とリンクして一気に興味が深まりました。憲法、法律のお話も大変勉強になりました。このような機会を作ってくださった埼玉支部のスタッフの方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。
  • 16.選択的夫婦別姓制度についての講演会を聞き、この制度は、性別に関わらず個人のアイデンティティと自己決定権を尊重するために必要と感じました。これまでこの制度について意識しておらず予習が必要でしたが、そのおかげでロースクールレベル?の難しい内容もなんとか理解できました。ユーモアを交えて分かりやすくお話しくださった三浦先生、ありがとうございました。
  • 17.講演を受講して、女性を取り巻く現状は根本的に明治時代から変わっていないことを知りました。 女性の生きづらさを助長する法制度は見直されるべきであり、今の時代に即した法整備が進められることを願います。 また、今年秋に第三次夫婦別姓訴訟が定義されるらしいので、関心を持って注視していきたいなと思いました。
  • 18.司法的にものを考えていくのはこういうやり方なのかと理路整然とした、とてもわかりやすい三浦先生の講演に、大満足でした。ご準備くださった係の方、ありがとうございました。
  • 19.講師の先生のお話がとても分かりやすく、なぜ別姓が選択できない状況が続いているのかがよくわかりました。と同時に、先生が頑張っておられる様子をうかがえて希望も持てました。初めての参加でしたが、和気あいあいとした雰囲気で緊張感なく参加できました。ありがとうございました。
  • 20.講演会を計画してくださいました皆さま、本当にありがとうございました。 要望ですが、できましたら先生が作られたスライドのシートを印刷したものが欲しいと思いました。もう一度読み直してみたいと思いました。お仕事を増やすようで申し訳ありませんが。
  • 21.選択的夫婦別姓についてはずっと以前から話題は出ていたし、最近では旧姓使用の職場も多いと聞きました。でも法律的に選択的夫婦別姓を実行するとなると難しいのだと改めてわかりました。 その理由は、手続きが煩雑でメリットが乏しいこと、男女で意識の差が大きく、男性 で進んで夫婦別姓を選ぶ人はごく少ないのに、法改正を進める議員の多くは男性だか らです。さらに、日本人は多数派に属していれば安心で、他人と違うことをするのを 避ける傾向が強いからです。
  • 22.今回のお話で耳に残ったのは、公証という言葉です。今は家族であることを公証する ものは家族全員が載った戸籍で、国からの給付金とかも個人ではなく家族単位で支給 されます。これでは戸籍上は家族でも一緒に暮らしてないとか、一家族分の給付金を DVの夫が独り占めする、といったことも起こり得ます。国は今マイナンバー制度を進 めていますが、離婚する人や結婚しない人が増えているこのごろ、家族をまとめて一 かたまりに管理するのでなく、個人の出生から死亡までをたどることができる個籍と してのマイナンバーの活用ができないものでしょうか?
  • 24.選択的夫婦別姓に関しての私の意見は「ただ全てのカップル、特に女性が自由に選べればいい」ぐらいの考えでした。 講演後は、この件にはアイデンティティ、別姓、事実婚を選んだ時の特に女性側の不利益、時代の流れでの意識の変化等様々な問題がある事、何となくわかってはいた事が霧が晴れたように整理されました。 また私は人それぞれの幸福について、自由や平等について望み、理解しているつもりでいましたが、それは憲法でも保証されていることに今更ながら気づきました。 ただ観念的に考えるだけでなく、論理立てて考えることもいかに大切かとも。 現在進化中の別姓に関わる裁判の説明もとても参考になりました。 まだデータも足りないとのことで、この問題が議論の余地が多大にあり、家族観も多様であっていいのではと納得しました。 ユーモアも交えながらの三浦先生の知的で明るい話しぶりに、難しい話題にもいつのまにか引き込まれた、貴重な講演会でした。憲法の事ももっと興味を持ち、学びたいと思ったのも初めての感覚でした。 友人から講演後に送って頂いたlineからも一部コピーして以下に記します。 「姓をどうする」と少し難しい内容でしたが、 息子より若い弁護士先生の優しい語り口で、ロースクールの生徒並 みには至りませんが、わからないことに触れることが出来まして、有意義なひとときでした。
  •  26.一昨年、母が亡くなったときに取り寄せた戸籍には男性優位の家父長制が色濃く刻まれていました。母が生まれた時の戸籍は、両親、祖父母、父の兄弟姉妹、甥、姪がすべて書いてありました。しかし、祖父も、父の長兄も亡くなっていたので、長兄の1歳の甥が戸主となっていました。その後、父親が分家して戸主なりますが、間もなく亡くなったので、長女(男がいなかった)が家督相続し、すぐ他家の四男と入夫婚をして、その人が戸主になっていました。  現在、働く女性が増え、核家族化、少子化が進み家族の形が多様化しています。 講演会では選択的夫婦別姓の法律の解釈から裁判の流れ等を詳しく説明していただき、この制度が時代の流れからも必要で当然と感じました。そして、この制度の実現がもう一歩のところまで来ていると感じました。ただ、母の戸籍に見るような男系優先の家族制度が長く日本の社会を支えてきたことを思うと新しい家族観を受け入れない厚い壁がをあるのも感じました。この新しい制度が実現したら社会がどのように変わるだろうかとその時を早く見たいなと思いました。制度の実現のために私たちに何ができるかのお話もしていただきました。私も何か行動できればと思いました。